柔らかいほど、いいの??
『甲が出すぎて、トゥシューズで立つことが大変そうで』『柔軟性はあるんですが、踊りの中で活きなくて…』
なにかできることはないでしょうか?
とご相談を受けることがあります。
【柔軟性】は、バレエや新体操に必要な要素ですが、
踊るためには「コントロールできた柔軟性」が必要になります。
コントロールできない柔軟性は、デメリットにもなり得ます。
少し、関節弛緩性について学んでみましょう!
関節弛緩性(かんせつしかんせい)とは?
「柔らかいからバレエに向いている」と言われて、
バレエ(や新体操などのアートスポーツ)を始めた
といったケースを良くお聞きします。
関節の柔らかさのことを「関節弛緩性」といいます。
先天的(生まれつき)に柔らかい方もいれば、
無理なストレッチや怪我などで靭帯などを伸ばしてしまい
後天的につくられた関節弛緩性もあります。
先天的の場合は、
生まれながらのゴムゴムのルフィというイメージです。
結合組織が生まれつき緩く、
皮膚や関節が少し柔らかいという特徴があります。
(病的なほど弛緩性が高いものに、エーラス・ダンロス症候群があります)
よく「柔らかいほうが怪我をしない!」
という言葉を聞きますが、
適度な関節弛緩性は、関節の可動性を高め、
パフォーマンスの向上や怪我の予防に役立ちます。
ですが、過度な場合は、
怪我のリスクを高めてしまう可能性があります。
新体操やバレエで、時々見かける
・柔軟を頑張っていなくても
なぜか可動域があり、柔軟性が高い子
・柔軟性はあるのに
いつもふにゃ〜っとしちゃう子
(先生から見るともったえないに見えるかも??)
は、先天的な関節弛緩性を持っている場合が多いです。
生まれつき柔軟性に富んでいるため、
アートスポーツの世界では
より魅力的に映るかもしれません。
★柔らかすぎるデメリット★
~弛緩性の高いタイプのデメリット~
関節弛緩性が高い状態とは、
関節を守る役割を果たす靭帯、関節包などの
テンションが低い状態です。
そのため、関節を安定させるためには、
通常よりも筋や筋腱などをたくさん使い
安定性を補う必要がでてきます。
生まれつき関節か緩い(不安定な)ため、
しっかりと安定させるためには、
筋肉のサポートがたくさん必要ということです。
そのため、通常よりも筋・筋腱(動的安定化機構)
を使う場合が多く、
筋・筋腱に負担がかかりやすい特徴があります。
(痛めてしまうこともあります)
1スタジオに1人は…と言っていいほど、
このタイプの方をお見かけします。
筋肉を使うとは、
エネルギーを使うことでもあります。
学校へ出かけ、授業を受け、
下校する頃にはヘトヘト・・・
バレエのレッスン(部活の練習なども)に行く前から、
疲労を感じているといったケースもあります。
疲れやすい特徴があります。
先生や親御さんは、この状態からレッスンに
臨んでる可能性もあることを
理解していただけると良いかと思います。
(レッスン中に元気がない?やる気ない?の原因が
「疲労」のこともあるかもしれません。)
★全身の関節弛緩性のテスト方法★
~全身の弛緩性を知る10項目~
関節弛緩性には、個人差があります。
簡単なチェック方法をご紹介いたします。
【チェック項目10】
①親指が前腕につく
②指を反らしたときに前腕と並行になる
③肘が反対側に15°以上反る
④背中で両手が組める
⑤腕を90°あげて合わせたときに前腕がべったりつく
⑥前屈で手のひらが床につく
⑦立ったとき、180°つま先を外に向けられる
⑧立ったとき、膝が10°以上反る
⑨足関節の背屈が45°以上(スネと床にある足との角度が45°以上)
⑩足関節を最大に底屈した際、母趾と床との距離が5㎝以下
【テスト結果は、ポイントで判断】
●片側だけなら0・5ポイント
●両側なら1ポイント
10項目で、合計10点満点
※一般的な傾向
男性で2〜3ポイント
女性で3〜4ポイント
これ以上ですと、全身の関節弛緩性
が高いとの判断になります。
バレエや新体操の方の中に、一定数はいらっしゃるはずです。
関節弛緩性が高いと、
筋・筋腱のサポートがたくさん必要になり、
負担も増えてしまいます。
ご自身(もしくは生徒さん)の身体の特徴を知っておくことは、
運動・競技動作の習得・ケガの予防の観点からも
必要なことかと思います。
生まれつき、親子で似ている~といった傾向もあります。
ご家族の皆様と一緒にチェックされることも良いかと思います。
※テスト :足部・足関節のキホンとケアより一部抜粋
※イラスト:tommy作
★弛緩性の高い場合に必要なこと★
生まれつきの柔らかい組織を変えることは不可能です。
関節の安定性を高めるためには、
サポートしてくれる筋機能を向上させることが必要です。
また、生まれつき伸張性の高い靭帯や関節包などの組織を
これ以上伸ばさないようにすることも必要です。
新体操・バレエの方向けにご説明しますが、
習っていない方や他のスポーツでも同じことが言えます。
必要なことを(当院で行っている取り組みも)記載いたします。
以下、
◆ストレッチへのより良い理解
関節に負荷をかけるような誤ったストレッチは、
関節の安定性を下げ、怪我のリスクを高めます。
どんなストレッチが、関節や靭帯に負担をかけるのかを
理解する必要があります。
・筋肉が伸びる感覚
・関節包と靭帯が伸びる感覚
2つがごちゃ混ぜになり、認識されているケースが多いように感じています。
講師の方も、理解してストレッチ指導は行う必要があると考えております。
弛緩性の高いクライアントには、こちらの指導も行っております。
◆より良い立ち方・関節コントロール
日常生活や踊りやエクササイズの中で、
・伸びきった膝(反り返った状態)で立っている
・手をついたときに肘が伸びきった状態(反り返った状態)
にしていることは避けるべきです。
力を使わず楽なため、好んでこの姿勢をとりやすい傾向があります。
関節包や靭帯にもたれかかった状態ですので、
長い期間繰り返すと、組織が傷み、関節は緩くなってしまいます。
一度緩んでしまった組織は治りません。
予防のためにも、
どんな姿勢で立っていればいいのか?
どんなコントロールをすればいいのか?
をご本人にも理解していただく必要があります。
とりやすい姿勢の傾向はありますが、
1人1人コントロールの癖は違うため、
個別の指導も行っております。
◆筋肉のサポートを増やすこと
靭帯・関節包の生まれつきの伸長性は変えられませんが、
動的安定化機構の機能UPは可能です。
※「ゴムゴムのルフィが伸びるのは変えられないけど、筋力UPはできる
→身体のサポートUPして関節の負担を減らせる&パフォーマンスUPはできる」
といったイメージです。
効率よく筋肉をつけるエクササイズをするためには、
まずは、正しく関節コントロールができていることが大切です。
動きを理解して、関節コントロールよく実践できていたら、
エクササイズの強度を上げながら
筋力強化に向けて進めていきます。
バレエや新体操(他の運動でも)
怪我の予防だけでなく、競技動作の習得の面から考えても
正確な関節コントロールは必要になってきます。
当院にてこちらもチェック・指導しております。
◆競技動作の中で活きるように
関節弛緩性のある方は、
筋肉をバランス良く使うことが苦手な方も多く
競技動作習得の段階でつまずく方もいらっしゃいます。
エクササイズを競技の動作の中で、
活かせるようなプログラムもご提供しています。
例えば、
・ターンアウト向上に役立つエクササイズ
→各ポジションに繋がる感覚をエクササイズを通して体験
→バレエレッスンで役立てていただく
・床を押す感覚
・膝を伸ばすこと
などのコントロールをすることに
役立つエクササイズ
など、バレエや新体操に多いお悩みにも対応しております。
(バレエ整体の中でご提供しております)
エクササイズが競技動作習得に役立つということを
実感していただくことでエクササイズを続けるための
モチベーションUPにも繋がるかと思います。
他にも、必要に応じて
インソールやセルフコンディショニング、
簡単な靴選びのアドバイスなどもおこなっております。
☆最後に☆
繰り返しますが、こういった子達の場合、
動的安定性である筋・筋腱の働きを高める必要性があります。
より良い知識、それを使いこなすための判断力
具体的な方法を早い段階で習得しておくことは
大切いなことと考えています。
一生関わる身体のことです。
周りにご相談するところが見つからない場合、
Tommy.NABOでもご相談を受付ております。
●バレエや新体操の方はこちら
●一般やその他の競技の方はこちら
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出張の際は、男性可になっております。